この夏、森林セラピーのすすめ! ~vol.1

2009年07月29日

記事提供:Rosemary

 地球温暖化の影響か、今年の夏もすでに30度を超える日が続いている。とくに、東京のヒートアイランド現象は年々異常さを増している。ついつい、冷房がガンガンにきいた場所に逃げ込みたくなるが、そんなときこそ、しばし都会を離れ、森に出かけることをおすすめしたい。

森を歩くことは、樹木の香りやマイナスイオンが心を落ち着かせ、リラックス効果をもたらすといわれ、以前から体にいいとされていた。だが、最近では、その考え方をより科学的に分析した「森林セラピー」の研究が進み、医療の観点からも注目を集めている。

森林セラピー」とは、森林浴の際に得られる血圧や脈拍、ストレスを感じたときに増えるホルモン量などの科学的なデータを積み上げ、医学的に森林のもつ癒し効果を立証させることで、健康増進や予防医学、リハビリテーションなどに役立てようというもので、日本では、2004年以降、林野庁・厚生労働省など国や自治体、各研究機関や大学・企業などにより、「森林セラピー研究会」が結成され、その活用方法などに関するプロジェクトが進められてきた。

 たとえば、森林部と都市部で被験者の心拍変動性、唾液中コルチゾール、唾液中アミラーゼ、血圧などの反応を測定してみると、森林部では都市部に比べ、唾液の中のコルチゾールというストレスホルモンの濃度が低くなり、心拍のゆらぎの測定では、ストレスの高いときに高まる交感神経が抑制され、リラックスしたときに高まる副交感神経が昂進するという。また、森林部では脳の活動も鎮静化され、リラックスすることなども明らかになった。
「森林セラピー実行委員会」では、そうしたリラックス効果が森林医学の面から専門家に実証され、さらに、関連施設などの自然・社会条件が一定の水準で整備されている地域を「森林セラピー基地」もしくは「森林セラピーロード」として認定しており、その数は現在、全国35カ所にのぼる。

先日、そのひとつ、「世界遺産 高野山千年の森」へ行ってみた。200477日、「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録された高野山は、弘法大師によって開かれた真言密教の総本山として知られ、国内外から年間約146万人の観光客が訪れる国際仏教都市だ。大阪・難波駅から、南海電鉄高野線で極楽橋まで行き、そこからケーブルカーで高野山駅までのぼっていく。実はこのケーブルカーの中から、すでに森林セラピーは始まっている。険しい傾斜面にそびえたつ巨大な木立の中を深い霧をかきわけ、標高約800mの山頂に向かってゆっくりと進んでいく感覚は、まさに天上界へと登っていくような、なんとも神秘的な気分。

この高野山には、短距離から、中、長距離まで、趣の異なる8本のセラピーロードがあり、体力や目的に応じて好みのコースを選択することができる。私が選んだのは、「高野山町石道・金剛界ルート」という高野山の名所を押さえたメインルートで、距離にして3.2㎞、初心者向けの平坦なコースだ。観光名所のひとつ、壇上伽藍根本大塔からスタートし、総本山金剛峯寺前を通り、弘法大師が入定したとされる奥の院御廟まで続く道だが、森林セラピーの効果をもっとも実感できるのは、奥の院の参道入り口から御廟までの約1.5㎞の道のりだろう。

高野山3緑あふれる壇上伽藍内の御堂
高野山2檀上伽藍~金剛峯寺間の参道も木立に囲まれて。
奥之院入口厳粛な雰囲気が漂う奥の院入口。

樹齢200年、目通り1m、高さ50mを越す大杉がそびえたつ奥の院の森は、環境省の「かおり風景100選」や特別母樹林にも指定されている。この中に、十万基ともいわれる石塔があり、親鸞聖人や日蓮聖人といった他宗派の開祖から織田信長や豊臣秀吉、明智光秀などの戦国武将をはじめとする数々の歴史上の人物や著名な文化人たちが祀られていて、厳粛な雰囲気が漂う。奥まで歩いていくにつれ、ひんやりとした空気の中に杉の木と線香が入り混じったような独特の香りが広がり、霊気のエネルギーがビンビンと伝わってきて、心地よい感覚に包まれる。正直、最初はお墓の中を歩くのはちょっと怖かったのだが、歩いているうちに、「魂が休まる場所」といわれる意味が実感できるようになり、なぜ、これほどまでに多くの先人たちがこの地に眠りたいと思ったのかがわかる気がしてきた。

高野山奥の院を取り囲む樹齢200年の杉の木。
kouya4環境省により、特別母樹林の指定も受けている。

御廟で般若心経を唱え、南無大師偏照金剛の祈りを捧げたあとは、宿坊に帰り、精進料理をいただいた。翌朝は早朝の勤行に参加、その後、写経や受戒、阿字観(瞑想)を体験し、身も心もすっかり浄化された気分に! 海辺のリゾートでは味わえない心の充足感を霊山のパワーからもらった。

kouya5宿坊の精進料理。体にやさしく、おいしくて満腹感も十分。

高野山は四季折々の風情を楽しめるが、おすすめはやはり初夏から夏。夏休みの予定がまだ決まっていない方は、ぜひ森林セラピー&プチ修行で、心身のデトックスを体験してみてはいかが?


Rosemary・自然/エコロジー)

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