先日、上海の銀座通り、淮海路(ワイハイルー)で素敵な若いカップルを目撃した。

男性は黒の、女性は鮮やかな花柄の中国服を着ている。長身でスラリとした二人は、早足でホテルの中に消えていった。
友人の結婚パーティにお呼ばれで出掛けていく。そんな感じだった。見ているこちらが楽しくなるほど絵になるカップルだった。
中国服は素敵だ。それに中国人に良く似合う。
ところが我が社の若い女性陣に聞いても、ほとんど持っていないし、着ないのだという。男にしてもしかりだ。

中国人は概ね日本人よりも合理的だから、いつ着るか判らない服を大切に持っているなどということはやらない。
中国広告界のボスの中には中国服の愛好家が何人かいて、いつ会ってもきちんと着こなしている。
先日は夏真っ盛りの時に長袖の中国服を着て現れた。袖を見ると、大きな宝石のカフスで留めている。そんな着方もあるのかと感心した。
長袖の中国服もほんとうに上質な素材で出来ているのが判る。深い緑をたたえたあの宝石も本物に違いない。
彼はその格好で中国企業のトップたちと付き合っている。見た目もプレゼンテーションのうちだ。

実は私も何点か持っている。春先に思い切って会社へ着ていった。すでに家を出る時から自意識過剰になっている。日本人が着て変じゃないだろうか? 中国語で話しかけられたらどうしよう? 次々にネガティブな妄想が浮かぶ。
ところが会社に着いても誰も話題にしない。アシスタントに感想を求める。「いいんじゃないですか。お似合いですよ」と型どおりの返事が返ってくる。幹部社員と面談していても中国服の話題に触れてこない。
着ている人は少なくても、中国社会では別に珍しくはないということか。

日本からのお客様を連れて行く中国服の店が泰康路(タイカンルー)にある。(*)
この店には上質な素材の一点ものが揃っている。デザインや色の組み合わせにもセンスがある。
私も妻もこの店のファンで、何点か持っている。
本社の役員をお連れしたら気に入って、3着ほど買っていかれた。
サイズ直しもお手のもので、次の日の朝にはこちら指定のホテルまで届けてくれる。

某有名デザイナー氏は自分の分だけではなく、奥様の中国服を買って帰った。先日電話が来て、「すごく気に入っているんだけれど、これを着て出掛けるレストランに連れて行けとうるさくて・・・」と半分困った声だった。
そう、やはり中国服は女性用が華やかで素敵だ。この店は丹念に手で刺繍を入れてくれる。色使いも男性用に比べてはるかにバリエーションがある。

足に深いスリットが入ったチャイナドレスは、ちょっと着るのに勇気が必要かもしれないが、上着だけの中国服で十分にお洒落が出来る。
間もなく中国広告協会主催の審査会がある。私はここで買った中国服を披露する。
審査員仲間は反応してくれるだろうか?
*金粉世家(Feel Shanghai)・・・・泰康路・田子坊
[青山武祐・中国]
*このブログは、プラチナ・ブログとして、プラチナサライで掲載されています。