身体に記憶されていくローカル麺。

2009年08月18日

記事提供:青山武祐

上海に住んでいると、「日本の味で恋しくなるものは何ですか?」と聞かれることが多い。
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「そうですね、お寿司と麺ですかね」と答える。他の上海在住者の答えも同じようなものだ。
特に麺談義になると終わらない。ラーメンからお蕎麦、うどんまでそれぞれの好みの主張が延々と続く。

麺のたちが悪いところは、食べたくなると抑えきれなくなるところだ。頭の中でずるずるとかきこむシーンが浮かんだらもう終わりで、腰が浮いてくる。
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私の場合は、会社が銀座にあったせいか、「よし田」のそば、それもお代わり付き天せいろが恋しくなる。ラーメンなら場外馬券場近くの「共楽」のワンタンメンか。
もう口の中は唾でいっぱいなのだが、上海から駆けつけるわけにはいかない。

麺はそこまで身体に記憶として残るもののようだ。

上海人を魅了してやまない麺がある。
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銀座通りと言われる淮海路と観光客を集める泰康路を南北につなぐ思南路。中山孫文や周恩来の記念館も立ち並ぶ、落ち着いた道だ。ここに昼と夜、人々が押し寄せる小さな店がある。

「阿娘面館」。黒塗りのハイヤーやタクシーで駆けつける人も多い。
きちんとした格好の会社員も肩を寄せ合ってテーブルを確保する。

  私も初めて連れていってもらった時は、さすがに戸惑った。何とか自力で席を取り、レシートに書き込まれた番号を何度も確認する。麺を持ってくる店員が叫ぶ番号を聞き洩らしてはいけない。

  名物は白身の川魚をトッピングした「黄魚面」。

  何だろう? 捌く前の姿は見ていないのだけれど、ハゼに似た白身だ。淡白な味わいも似ている。
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  適度に小骨も混じっているが、構わずに食べてしまう。ローカルの人の方が気にして骨を出している。日本人はやはり魚慣れしているのか? それとも単に私が野蛮なのか? 

  そうそうこの店で日本人を含む外国人に会った記憶がない。もう4度出掛けているが、ローカルの人以外見かけない。シンプルな分ローカル度が高い。 
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  趣向を変えて内臓煮込み麺に今回はチャレンジしてみる。どうやらスープの濃さが若干違う気がする。しかし、このスープはどうやってとるのだろう? 

  そこに辛く味付けした小口ジャガイモの煮たものや高菜の炒めをトッピングしていただく。微妙に味に変化が加わる。さらにスープが味わい深くなる。
  しかし飲み干してしまうと後でけっこう喉が渇く。塩分が強いのだろう。日本のラーメンもそういえば喉が渇く店が多かったっけ。美味くするには塩分が必要なのか?

  ここの麺はだいたい一杯18元(約250円)。トッピングはどちらも3元(約40円)。
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  これだけ流行っているのに支店はない。以前、似たような麺を出す店がチェーン展開したらしいが、続かなかったそうだ。

  儲かるとなればなりふり構わない上海で、この一店勝負はなかなか潔い。応援したくなる。
  あと何年上海生活が続くのか判らないのだが、この麺はいつか私の身体に記憶として残るのだろう。

(*)「阿娘面館」・・・・思南路x皐蘭路

[青山武祐・中国]

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