結論からいえば、コロナもダイヤモンドリングも観測することはできませんでした。
皆既帯通過以降、僕の携帯には関係各所から、「残念!」のメールが飛び込んできました。
確かに太陽が月の影に入り始める9時30分過ぎからの屋久島・安房、平野地区の天候は小雨。
太陽が欠けていく様はおろか、太陽がどこにあるのかもわからない、ドン曇りの状態でした。
とはいえ10時50分過ぎ、太陽が完全に月の影に隠れた時、あたりは昼間でありながら
飛んでもないスピードで闇の世界に突入していったのです。
9時50分太陽が欠け始めた時
それまで蒸し暑かった気温が、一気に下がっていきます。
僕がお邪魔しているお宅の周りは、手つかずの原生林で覆われているのですが
そこに生息する鳥たちが、音を立てて慌ただしく巣に帰っていきます。
大量の薄いブルーをした小さな蛾が乱舞しています。
こんなことが起こるのでしょうか?
突然訪れた白昼の闇
突如あたりは闇の世界へ
論理的には理解していても衝撃的初体験は、興奮と混乱をもたらします。
僕は思わす「うおおおおおおおお~」と声を立てていました。
ぞくぞくする感覚が全身に広がっていくのが分かりました。
非日常が僕を包み込む
僕はこの皆既日食体験をたった一人で、友人宅の屋上でしました。
色々なことに干渉されることなく、天空の奇跡を自身の五感だけで、ピュアに繊細に素直に体験したかったからです。
次の瞬間、今度はさっきと同じ極めて早いスピードで、闇の世界は、昼へと戻っていたのです。
初日の出の太陽がでぶでよろよろと出てくるのとは正反対です。
一気に光の世界は、帰ってきました。
気温は上昇し、海からの湿った風が吹いてきます。
大量にいた(僕の大嫌いな)蛾はどこへともなく消えていました。
4分6秒の屋久島での宇宙の驚嘆は終わりました。
ゴルゴ内藤氏から今日のことを聞いたのが、2年前。
世界自然遺産の島、ここ屋久島で観測を決意して、半年。
さまざまな関係する皆様、友達の協力があってこそ、この感動を体験できたのです。
本当に奇跡のプレゼントを下さった方々に感謝です。
屋久猿はその時、何を感じたのだろう?
『PLATINUM SERAI』小林慎一郎